1983年9月にできた大阪南港野鳥園の湿地は、北池・西池・南池の3池からなる潟湖干潟的浅場環境で構成され、シギ・チドリなどの渡り鳥の保護及び市民の皆さんの野鳥観察の場として親しまれています。それぞれが鋼管を通じて大阪湾とつながっており,自然の潮の満ち引きにより干出・冠水を繰り返し大阪湾の海水が出入りしています。 
 最近は全国で多くのアオサの大量発生による被害が報告されるようになりましたが、野鳥園の干潟も「夏場の水温が
高く, 過栄養化している停滞性の水域」というアオサ大量発生の条件により、毎年大量のアオサが発生しています。
 
 
     
     
 野鳥園の北池干潟 干潟の表面をおおいつくすアオサ   アナアオサ
 アオサが適量に発生している場合は、枯れると自己酵素や酸素を利用して働くバクテリアによって分解され、デトリタス(粒状有機物〉として貝、ゴカイ、ヨコエビ、カニなどの多くの底生生物の栄養分となります。    ところがアオサが大量発生すると、次第に酸素が不足し、酸素を使わないで働くバクテリアによって分解されていきます。その際、有毒なメタンガスや硫化水素が発生し、干潟の表面も真っ黒になります.多くの底生生物が生活できなくなり、長距離の渡りをするシギやチドリにも、深刻な痛手を与えます。
 シギやチドリが干潟に舞い降りた時、食ぺものとなる底生生物を捕らえることができず、渡りを続けるだけのエネルギーを補給することができなくなってしまうのです。
  
 

 干潟がアオサでいっぱいだ!! さあ、みんなでアオサ取り!!それでは、アオサ取りの実際を見てみましょう。アオサは一か所に集めて自然に分解させますが、下の干潟面を痛めないように隙間を開けるように工夫します。野鳥園では、プラスチックの箱を敷き詰めてアオサの捨て場所を作っています。  
 
 
干潟にアオサがいっぱいだ。シギやチドリ達、ご飯が食べられないよ〜。アオサ取り開始!!   メーカーさんから使わなくなった牛乳箱をたくさんいただきました。有難うございました。   流れてバラバラにならないように、錆びないステンレスの針金で牛乳箱を止めていきます。   捨て場所が決まったら、周りに杭をうって、綺麗に敷きつめます。 
             
 
基礎ができたら、建築用の緑の養生ネットをセット。   サイドを立ち上げて杭に固定すると、こんな風に完成。   さあ、みんなアオサをがんばって集めるぞ〜!
 
             
     
こんな山をいっぱい作って水分をよく切ります。   深いところには、アオサ回収船が出動します(W)。   水気が切れたら、子供たちも頑張ってどんどん運んで・・・。   どんどんアオサ捨て場に・・・。
             
     
集め終えたら、満潮になっても流れ出さないようにネットを閉じて・・・。   これで完了。    どんどん水気が切れて・・・。    1週間経つとだいたいこの位になります。

 大阪南港野鳥園のアオサ取りは、このような、シギチドリのために
採餌する場所を確保するため、アオサのレベルの低減を目的とした
環境保全作業ですが、 自然海岸のない大阪湾沿岸で、干潟の生き
物に触れ合える数少ない環境教育の場として、継続して参加される
家族も多く、干潟の生物の観察会も合わせて実施する場合もありま
す。
 
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