シーソー型レリーズについて 
 
 撮影焦点距離が3.000mmをこえるような、ど迫力の野鳥写真を楽しめるデジスコシステムについて、お話をしていますが、撮影に際して一番気を使うのはすでにお話ししたように「ブレ」であることはいうまでもありません。

 コンパクトデジタルカメラの利点は、小さなレンズシャッターで振動が少ないこと、一眼レフの様なでミラーupの振動も無いことです。また、基本的に三脚の使用が前提ですから、手ブレ等もありませんが、そこは3.000mmに迫るようなこともある長焦点での撮影です。実際、カメラの液晶モニターをのぞいてみれば、そこには確かに「ブレ」が存在します。 

 ブレの諸要因の一つに、シャッターレリーズのケーブルを介してつたわる手の振動があります。一般的なデジスコ用のブラケットについているレリーズステーは、左図のように、上、あるいは斜め上からレリーズを取りつけるような形態のものが多いようです。雲台のパン棒を右手で操作しながらシャッターを切ったりしますから、上から下方向への不自然なケーブルの取り回しでは、レリーズ自体の撓みによりテンションがかかり、機材に振動が伝わりやすくなります。また、ケーブルに負担がかかりレリーズの消耗も早くなるようです。

 
 ならばということで、デジスコ界の先輩諸兄が工夫されたのがシーソー型レリーズで、管理人も自作して使用しているのが下の写真です。上向きに取り付けて、下から上へのレリーズの動きをシーソー型のレバーを介して下向きのアクションに変えることにより、シャッターボタンを押そうという仕掛けです。
 
 自作するにあたり、シャッターボタンを押すという機能だけなら、色々な構造を思いついたのですが、コンデジ、この場合、SonyのRX-100用なんですが、シャッターボタンのすぐ前にズームレバーがあり、人差し指のクリアランスが必要で、操作性に支障のあるその他のアイデアは全部ボツ。さらに、前述したように、パン棒と一緒に操作しなければならないので右側への取り付けとなり、カメラの電池ボックス他の開閉部に干渉しないこと等、様々な要因を考慮して左図のような形態となりました。

 管理人の使用しているレリーズ本体はDIGISCO.COM社のデジスコ専用レリーズで市販品です。先端基部にΦ5mmのネジが切ってありますから、取付パーツに5mmのハンドタップでネジを切り、ねじ込みで取り付け加工します。付属のナットは上下の位置調節用・落下防止用に使用できます。
 
 冒頭の汎用のレリーズステーに比べて、左の図のように、ケーブルの取り回しが自然な感じになり、雲台のパン棒と一緒に操作してもスムースです。

 この様に、デジスコによる写真撮影は、ブレの要素を低減し撮影成功率を上げるということにつきますから様々な工夫をこらすということになると思います。ブレが低減されて低速シャッターが可能になれば、撮影時のISO感度を下げることもでき、ノイズの軽減という観点からも有利です。

 管理人はデジスコの撮影では、たいていの場合、左手はスコープのピントノブに、右手は雲台のパン棒を手のひらで、右手指でレリーズを操作しています。素早く動く野鳥の場合、このままシャッターを切り続けることもありますが、野鳥の動きに余裕のある場合、左手を離し、パン棒からも離して手からの振動を遮断し、レリーズのみの操作でシャッターチャンスを待つこともあります。その際、このシーソー型のレリーズは威力を発揮します。 

 カメラを機種変更すると、レリーズステーも作り直すはめになりますが、シーソー型レリーズは、そんな手間も苦にならない、デジスコのマストアイテムですね。