この時期、良く聞くのは「綺麗なジョウビタキの♂がいました…」っていうのですよね。でもって、撮影すると左の様な絵が出てきます。オレンジ色のおなかがキュートなジョウビタキ君ですが、この子はその年生まれの若鳥君・つまり第一回冬羽に換羽中の子です。
 鳥の本等で調べると、「ジョウビタキの幼羽から第一回冬羽への換羽は、部分換羽であり、体羽と小雨覆、中雨覆、大雨覆の内側の一部は換羽するが、その他は幼羽のままである。」な~んて書いてあります。管理人が常々お話しているように、バードウォッチングの上達法は、「図鑑の記述が実際には、こう見えるんだな~」と確認し、イメージを修正することなんで、ジョウビタキ君に手伝ってもらうことにしました。

 以前に描いたスズメ目の翼の翼式の図を引っ張り出して、上の写真をイラストにしてみました。翼で茶色く見える部分を確認してみてください。
 
 「…体羽と小雨覆、中雨覆、大雨覆の内側の一部は換羽するが、その他は幼羽のままである…」ということは、体羽って翼と尾羽を除いた体の羽根のことだから、ジョウビタキの第一回冬羽ってのは、風切羽根と尾羽、そして翼の小翼羽、初列雨覆、大雨覆の外側の一部の羽根は幼羽ってことになります。

 
 上の写真の子は、渡ってきてすぐ、11月ごろに撮影しました。確かに小翼羽・風切は褐色で、黒い大雨覆の羽根とコントラストがあります。しかし、この子は大雨覆は全部換羽しているようです。もっとも右上の円内に示したように、雨覆の外側の羽根が幾枚か茶色い子もいます。風切りは換羽しないとのことですが、この子は三列風切のT9が黒く見えますね。
 
     つまるところ、ジョウビタキの♂成鳥は上の図の白い点線で示した部分が黒く、コントラストがないこと。おまけに、外側尾羽の先端に暗色の斑があることになるようです。

 ♀については雨覆、初列雨覆の色合いではわかりにくく、このような外側尾羽の暗色班と、尾羽の先端の形状、幼羽なら摩耗しとがり気味であるが、成鳥羽は先端は丸みを帯び摩耗していないというような点で見た方がわかりやすいそうです。

 これについては、また♀画像を探して確認したいと思っています。
 
 下の写真は、春の渡る直前の写真です。ジョウビタキは春の換羽をしませんから、これが第一回夏羽ということになるのでしょう。大雨覆は一番外側まで、手根雨覆まで換羽が進み、三列風切も換羽しているようにも見えます。春の写真を観るとこの様な個体が多いように思えます。標識をして個体識別をしないと何も証明できませんが、「ジョウビタキ♂の第一回冬羽の記録…」とか、なんかテーマがあると、おなじみのジョウビタキ君でも、撮影する励みにはなります(笑)