セッカのあれやこれやのコネタ
   
   管理人は干潟河口部・埋立地で野鳥を観ているので、春の華やかだけど慌しい渡りが終わり、夏鳥や渡りのシギチドリが繁殖地に行っちゃうと、まあ、暇(笑)になります。
 で、夏の河口部埋立地といえば、日差しの中「ギョキヨシ、ギョギョシ、ケシケシケシ…」というオオヨシキリの暑苦しいさえずりだけが聞こえる…なんてイメージでしょうし、実際そのとおりです。

 そんな管理人にとって有難いというか、都合のよい鳥が「セッカ君」となる訳です。セッカ君…、春は4月から他の夏鳥と同じでさえずりはじめてるのにね。「コルリだぁ~、サンコだぁ~…」の大騒ぎが済むと、「セッカでも撮りにいくか…」だって、随分待遇の差があります。
     
 人間側の都合やなんだかんだに関係なく、件の「セッカ君」は埋立地の空を上昇しながら「ヒッヒッヒッ」、かと思えば下降しながら「チャッチャッチャッ」とさえずっております。なんでも、このセッカの飛行…エアダンスと洒落た言い方もあるらしい…は、上から見るとアラビア数字の8の字を書いていると聞いたことがあります。ん~っ、そのように見えるって言えば見えんこともないし…。でも、その8の字の中心に巣があるんだ~って事になると、テリトリーって観点からすれば説得力あるけどな~って程度。

 実際、管理人の観察していた個体は、エアダンスもしていましたが、巣作り中と思われる特定のブッシュを中心に数箇所のソングポイントを持っていました。このぺージの写真・上のロープと下のノラニンジンには特に良くとまって「ヒッヒッヒッ…」音のさえずりを繰り返し、他の個体を排撃していました。

 写真を見ていただければ、ポストにとまってさえずっているのが判ると思います
 
   あ、それと良く「お歯黒セッカ」っていわれる個体がいますが、これはセッカの繁殖期の雄個体は、舌を含め上下嘴の内側が黒くなる上に、嘴を閉じた状態でも嘴基部からはみ出したように黒く見えることから来ています。

 メス個体では部分的に黒いところもありますが非繁殖期や幼鳥には見られませんから、婚姻色だと思われます。ムクドリなんか成長はずっと黒いままです。

 人間だとお歯黒(鉄漿)は既婚女性が歯を黒く染めたのですが、セッカは雄が口内を黒く染めます。おもしろいですね。
 
 当年生まれのメスが繁殖したり、一夫多妻の繁殖をしたりとか、この辺がセッカ雄が、他の鳥たちが繁殖を終えてひっそりする晩夏まで巣作りやソングをやめない理由なのかも知れませんが、とても興味深い鳥ではあります。

 スズメより小さな鳥が1シーズンに10個以上の、蜘蛛の卵のうの糸を使った精巧な巣を作ったりなんて、1個の巣に1週間から10日かかるとして、1シーズン中巣作りしてるってことですよね。ものすごいエネルギーだと思います。

 セッカ君、すべてのエネルギーを繁殖にぶつけるかわり、非繁殖期はまったく非活動的になります。鳴かない・飛ばない・動きもしないで冬のセッカを見ることは難しいですね。冬眠してるんじゃないかと思ったこともあります(笑) そんな理由で探鳥会なんかで「え~っ、セッカって秋冬もいるんですか~?」って質問されることがしばしばあります。ひと昔前なら「セッカは留鳥で、寒冷地の個体は南へ移動しますが、ずっといますよ。」なんてお気楽な解説してましたが、標識調査で調べられたおかげで大阪のセッカは、夏に繁殖する個体群と冬に越冬にやってくる個体群がそっくり入れ替わっていることが解っちゃいました。あ~、恥ずかしい。赤恥もええとこですね。セッカ恐るべしですね。