オオムシクイなお話し・・・

え~っと、ムギマキ♂adの情報があったので早起きして出かけましたが振られましたW。キビタキとオオムシクイたくさんいるんですけどね。でもって、オオムシクイのクモをキャッチした子を見つけたのでパシャリっと。後でPCで画像をチェックしてみると「オォ~ッ!!  P10が写ってる~。」ってことに。

なんでまたP10かっつうと、初列風切の最も外側の羽のことで短くて、下の写真のように畳み込まれていたり体羽が被っていたりとかで良く見えないことが多く、先端まで確認しにくいですのですが、このP10の長さが、メボソムシクイ、オオムシクイ、コムシクイの3種によって異なるらしいのです。

以前、本サイトのほうで、「オオムシクイとメボソムシクイは鳴き声でわかるけど、外見では識別できません・・・」みたいなことを書いたんですけど、medaichiの持っている、平凡社の写真図鑑「日本の野鳥650」2014/1/31初版のメボソムシクイの解説に「 ( メボソムシクイは ) P10-PC (初列風切最外羽と最長初列雨覆)の差が一番長い」との記述があります。つまり、メボソムシクイはP10(初列風切最外羽)が最長初列雨覆より長く突出するってことですね。

文一総合出版の「新訂日本の鳥550山野の鳥」には詳しく書いてあります。他の論文もあたってみると、要は下の図のように、計測した平均値はコムシクイが一番短く、オオムシクイはほぼ初列雨覆と同じ長さ、メボソムシクイは突出するってことのようです。緑色に着色した部分が初列雨覆です。p10の初列雨覆最外羽の出具合を見てください。ということで、一番上のクモをくわえた子はオオムシクイのようです。

それでは、下の写真の子を見てください。この写真を撮影したとき、メボソムシクイもオオムシクイもいて、さんざん迷ったすえにメボソムシクイと判断した記憶があります。この子は明らかに初列雨覆のP10が、初列雨覆より長いことが観て取れますね。まあ、識別の補強材料になりそうな感じもないではないですね。

ここまで書いといて「補強材料」ってのもなんですが、オオムシクイの場合、ほぼ初列雨覆と同じ長さというのは平均値ってことで、長い子も短い子も混在するらしいのです。体長や嘴、跗蹠の長さとか他にも計測値はありますが、写真でわかりそうなのは、このP10の突出具合だったんですけどね~。

「図鑑や資料に書いてあることが、実際のフィールドでどう見えるか確認しましょう・・・」ってのは、普段、medaichiがバードウォッチング上達の基本って言ってますが、「ん~っ、これは使えねえな~」ってのもままありますW

まあ、medaichi的には、研究者のみなさんや大先輩諸兄が発表されたものをよく読んで、自分でもトレースしてみるという作業は、明快な結果が出なくても、作業の過程も含めて理解を深めるのには有効と思っていますから、今回、書かしていただいたことも無駄とは思っていません。

 

オオムシクイなお話し・・・」への4件のフィードバック

  1. tekka.maki

    昨日、初めて野鳥園に伺いました。
    野鳥を撮り始めて半年にも満たないので、へたくそな写真で分かりづらいかもしれません。
    チュウヒに釣り糸が絡んでいるのではないでしょうか?
    気になりますがどうすることもできないのですよね?

    返信
    1. medaichi 投稿作成者

       tekka.makiさん、こんにちわ。この個体に現時点でしてやれることはなにもないですね。
      手取りできませんからね。無事を祈ることくらいでしょう。
      深刻な状態で衰弱し、人の手で保護されれば救護の可能性はありますが。
       野鳥園を含めて、medaichiのように、干潟河口部や埋立地メインで野鳥を観ていると
      このようなテグス被害鳥をよく見かけます。実際、動けなくなった子をみつけて何度も
      救出に行ったことがあります。とても腹立たしいことですね。
       自分の無力さに押しつぶされても始まらんので、清掃イベントの時に堤防周辺の
      残置テグスを回収したり、自分のできること見つけて取り組むようにしてます。
       野鳥園のwebsiteや、こんなお馬鹿ブログをやっているのも、野鳥の素晴らしさ面白さを
      発信できたらなあと・・・。ん~、最近、遊びが過ぎるんじゃないかとのお叱りも・・・アハハ
      今後も、よろしくお付き合いねがいます。

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      1. 匿名

        お返事ありがとうございます。
        昨日も何度も連写で撮った写真を確認していましたが、どういう状態か不明でした。
        どういう状態かわかったところで・・・ということですね。
        お世話されていると幾度となく腹立たしい思いをされるでしょうね。
        清掃イベントの日程が合えば是非参加したいと思います!

        返信
  2. 熊代直生

    medaichiさま
     はじめましてなのかどうなのか、ちょっと迷うところですが、豊中の熊代と申します。メボソムシクイエスエルって、言いにくいですよね、なんてやり取りの流れで、藏重さんに教えてもらって、こちらへ寄せていただきました。それで、なるべく早めにお伝えしとかなきゃ、と思ったのが、最後のP10が長いモデルの子、エゾムシクイです。今年はどういうことか、かなり遅い時期にエゾムシクイを見たりしたのですが、これはとりわけ遅い記録なのではないでしょうか。

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