日別アーカイブ: 2021-07-17

Nikon Monarch7 8×30とか・・・⑤

続)とりあえずは覗いてみよう・・・周辺像が崩れるということ

普及機クラスの双眼鏡でなくても、medaichiが双眼鏡のお話をするとき色収差とともによく出てくるのがこういった周辺像の緩み、言い方を変えれば中心にピントを合わせても視野の周辺ではピントが合っていないということがあります。

今日は梅雨明けの晴れ間が広がり気持ちの良い朝だったので、今までお話のなかででてきていた周辺像の緩みについて頑張ってみます。でもって、視野の周辺にピントを合わせてカメラのフォーカスをマニュアルにして撮影してみました。少々手こずりましたが周辺部にピントを合わせると、今度は中央部の像が崩れているのが観て取れるとおもいます。そうですね、双眼鏡では視野の中央部と周辺部は同時にピントが合わないのです。

色々な収差を補正していき、結像点をつなぎ合わせると図のように湾曲した像面が形成されることがあり、大抵は浅いお椀のような像面になります。つまり中央のB’にピントを合わせると周辺のA’そしてC’ではいわゆる前ピン状態でピントが合わないのです。この像面の歪みを像面湾曲収差といい、周辺像の緩みはほぼこの収差によります。

昔の双眼鏡はこれを補正しきれず、概ね中心部はピントバッチリ、周辺部はユルユルは普通でした。今時の機種でもレンズ設計も進みましたが像面湾曲は残存しています。上級機種にはフィールドフラットナが採用されていますので、周辺部の像質が大幅に改善されています。

この像面湾曲は、広視界の双眼鏡の場合深刻な問題となりそうなのですが、人間の眼の視野は広いようですが、双眼鏡の広い視野の中心部と周辺部を同時にハッキリ見ることはできません。意識的に、視線を中心から周辺と移動させることになります。この時視線を周辺部に向けてもさほど像質が崩れたように見えないのは、個人差もありますが人間の眼がある程度の焦点を自動で合わせてくれるからです。若い方のほうが眼の焦点調節能力は高いですから、眼視では、medaichiらが揚げているようなコリメート撮影の写真ほど周辺像質の崩れを感じないのです。

とはいえ、色収差は解像感を損ないますし、周辺像の補正が高いレベルでなされている場合は他の諸収差も良好に補正されていると言えると思いますので、双眼鏡を見るときは着目せざるを得ないわけですね。