カテゴリー別アーカイブ: 双眼鏡

KOWA BD 8×32 XD Prominer とか・・・②

KOWA BD 8×32 XD Prominer 外観の続き

 前にも書きましたがコーティングは緑系・・・。対物レンズからプリズムまでよく似た色です。一般的なフルマルチコート機なんでしょう。反射が上級機種にくらべるとさすがに少し強めの感じがします。鏡筒内部はちゃんとつや消し塗装されて、基本の遮光線加工も施されているのが見えます。

「エントリーモデルを考える・・・」なんて言ってますが、エントリーモデルと言えども野鳥観察というハッキリとした目的があるのですから、その辺りは一般的な普及機よりは要求される性能が高くなるのは致し方ないでしょう。
 マニュアルで撮影してますが、接眼レンズの内部反射は少ない方だと思います。C国ダハ機の弱点の一つが、この接眼レンズ内の内部反射や雑散光だったのですだが、こういうところを手抜きせずきちんと作りこまれていて好印象。この見え味・像のコントラスト等に影響する部分で、最も優秀なのは、medaichiの知る限りではLeica の Ultravid 8×32 HDだ。現行のNoctividシリーズも素晴らしいが、まあ、お値段がそれなりに・・・

覗いてみよう

見かけは、今時はやりの広視界タイプは8度超えなんだが、7.5°は標準視界より少し広いっていう程度。「目に当てれば広々とした視野が・・・」というほどでもないが、窮屈さを感じることはないだろう。飛んでいる鳥、猛禽やカモメ・アジサシなんかをよく見る方には、広い視界は必要だろうけど一般的な鳥見には十分と思います。

右の他メーカーのダハ普及機は以前明るさを8点+としたんだけれど、僅かに暗いですね。8点かなあ、でも、視野のコントラストはKOWA BD 8×32 Prominerの方がスッキリ色合いも艶やかですね。白けてモヤっと感もなく良い感じです。価格からするともうちょっと頑張って欲しかったかなとも思いますが、欲張ってはいけません。僅かに暖色系の色合いを感じますが、この辺りは好き好きと言わせていただきます。

 最近の国内のメーカさんでそこそこの価格帯の機種なら、中央はしっかり見えるが周辺像はズルズル~なんてのはまあないんじゃないかと・・・。でもって、このあたりの眼視の微妙な像質の崩れをコリメート撮影するのも無理っぽさ満載なんでやめときますW  このKOWA BD 8×32 Prominerも参考までにイメージを揚げておきましたが、中央部40%位から周辺にかけての緩みは緩やかで、外縁85%位まではしっかり見えます。最外縁に僅かに減光がありますが気にならないレベル。

 ディストーション(周辺像の内向きの歪み)は65%から僅かに感じますが、周辺部へと進んでもまずまず緩やかで目立ちません。

色収差は良く補正されている

 このところ色収差(色のにじみ)の少ない双眼鏡を見てないものでW  ん~、勝間GLORY6×30はいいですね。とても嬉しかったんだが、KOWA BD 8×32 Prominerの色収差は良く補正されています。これはProminerの呼称の通り、色収差の少ないXDガラス(他のメーカではEDガラスとも言う)搭載の効果でしょうか。中央部の色収差は極めて僅か、周辺部も低く抑制されています。

まとめ

日頃、双眼鏡については「軽量・コンパクトも性能のうち・・・」などと言ってはおりますが・・・、今回、ご紹介したKOWA社の BD 8×32 Prominerに思ったのは、無理に鏡筒の短さにこだわらず、推測ですが、軽量化にはマイナス要因でも、プリズムはゆとりのあるサイズじゃないかと思います。鏡筒を短くしたり、プリズムを小さくすれば、光路の設計やパーツの加工精度も難易度が上がるので、ある程度の光学的な品質の維持のためには、ゆとりのあるサイズが必要じゃないかと素人ながら考えております。

最近は広視界タイプがトレンドで、medaichiも広々とした見掛視界の双眼鏡は好きですが、このBD 8×32 Prominerのような、視界の広さを欲張らず、周辺像の補正が高いレベルで行き届いた双眼鏡も好きです。当然、コストとの兼ね合いになるので、野鳥観察のエントリーモデルとしては、視界の広さと明るさは平均的ですが、双眼鏡の基本的な品質が平均より高いレベルで維持されており、コストパフォーマンスの高いモデルとして推奨できます。

KOWA BD 8×32 XD Prominer とか・・・①

例によって鳥のいない季節の機材ネタ・・・不好意思WW  でもって、今回は左の子、KOWA社のBD 8×32 XD Prominerでえ~すって、初手からアホくさい話になるのは毎度のことながら、こないだのCP+2019で双眼鏡BDⅡ32とBDⅡ42シリーズに新製品が出てた。一応は対物レンズにはXD(eXtra low Dispersion)レンズを採用してるらしいのだが、現行のモデルよりも軽量且つ、広視野設計を実現しました等とおっしゃる・・・。今年の夏発売予定ってんで、興和光学さんのサイトにいくとすでに目出度く生産終了~って笑ってる場合か・・・

なんでかというと、同シリーズの新製品つうとまず現行品より価格帯が下がるってことはまず無い。とはいうものの営業上大幅な値上げも・・・ってなりますよね。で~、「現行のモデルよりも軽量且つ、広視野設計を実現」するためには、ん~、medaichiの妄想竹では「どこかデチューンするんだろうな・・・」ということに・・・。わはは! KOWAさん、ごめんなさい。一般論ですよ一般論W。medaichiはスコープもKOWAユーザだし、今回8×32ダハ機の基本の一台ってことで、ディスコン聞いてあわててポチらせていただいたので勘弁してくださいW

結論から言わせていただくと、この価格帯の機種のなかで、まず基本・・・。見え方がしっかりしているという印象だったわけです。medaichiは双眼鏡は40Φユーザなので30mm径8倍とくにダハ機は普段使いを持ってませんでした。発売当初からこの機種は知ってましたが、「ん~、なんかデザインがチャラい・・・」WW またKOWAさんにおこられそう・・・。で、ちゃんと見たこと無かったんですが、こないだNPOのO君が持ってたのを覗かせてもらい、「良いかも~・・・」となったわけです。

 外観を見てみよう

そんなグダグダはどうでもいいですねW 外観から見ていきましょう。前回、ご紹介したNIKONさんのP7Sよりは気持ち大きめ。重さもP7Sの415gに対して、530gと重めですね。鏡筒にはポテ~っと、medaichiの嫌いな厚めのラバーアーマーWが・・・。安心感があるっちゃあるんだろうけどね~、medaichiは野鳥見て30年以上になるけど、双眼鏡を落としたことなんか一度もないもんね・・・って好き好きですね。

対物レンズ側には緑系のコーティングが・・・、一般的な多層コーティングとも思えましたが、medaichi的には、もうちょっと品のあるというか「深みを感じる緑」と言わせていただきます。いい感じ・・・。

左の鏡筒には麗々しく「PROMINER」の表示が・・・。プロミナーというのは、KOWA社さんの光学製品のなかでも、とくに光学特性に優れたフローライトやXDガラスなどを対物レンズに採用した 製品という意味ですね。そして、極めて見難い場所に読みにくい低コントラストの配色でW「made in PRC」の表示が。生産拠点をC国にってのは今では一般的ですね。medaichiは「おおっ、C国ダハも結構良いもの作るようになったな~」と思うようになった最初の機種です。

銀色の大きなセンターホィールに8×32 7.5°の表示・・・ さらにwater proof とあります。対物レンズの緑系とおなじコーティングの接眼レンズは、やはり普及機よりは大きめですね、だいたい23mm位あります。そんなに視野の広い双眼鏡ではありませんが、視野とアイレリーフ17mm確保のためには、現在では一般的なサイズなのでしょう。目当てのカップは3段伸びてストロークは8mm、ここらあたりは、もう少し長くてもいいのではといつもmedaichiは思います。あはは、そんなに彫りの深い顔じゃないもんで。  ・・・続きます。

NIKON PROSTAFF 7S 8×30の蛇足的余談

paper_shinentry model双眼鏡としておすすめのNikon PROSTAFF 7S 8×30君ですが、かつての野鳥の会御用達モデルの8×30EⅡ氏と比べて、実視界・見掛視界が狭い。もっとも、8×30EⅡが広視界モデルなんで、まぁP7S君については標準視界といっておこう。よく視野の狭い双眼鏡の悪口で「トイレットペーパーの芯から覗いたような・・・」なんてことを言われているが、果たしてトイレットペーパの芯から覗いたらどんな風に見えるのだろう?

で、講釈ばっか垂れとってもしょうがないので、実際に撮影してみた。そう・・・、なにごとも実証精神は大切ですよね。鵜呑みにしてはいけませんW  先輩諸氏の検証をトレースすることが理解を深めるのであります。右端の画像ですが見事に狭いですねえ・・・W  medaichiの計測で実視界約15.8度、倍率1倍で見掛視界も約15.8度でした。もっとも、こんな設計の双眼鏡は存在しませんからご安心ください。

ん~、このネタ、人に話すときは要注意!!   探鳥会なんかで「この双眼鏡、視界が狭いんだよね、まるでトイレットペーパの・・・」って話題になった時、「じゃあ、ペーパの芯って見掛視界、何度あるんだ・・・?」なんて質問したら絶対に嫌われ者になりますWW

Nikon PROSTAFF 7S 8×30

鏡筒内部を見てみよう

kyoutounaibu1

前回の投稿でNP7の像の見え方・色が白っぽく、コントラストに少々不満があると書きました。とはいうものの、この価格帯の双眼鏡なのに、Fullmultilayercoating/全面多層膜コーティングで、すべてのレンズ・プリズムの透過面に多層膜コーティングが施され、とても明るい透過感のよい双眼鏡でmedaichiはこの一点だけでも買いだなとは思います。

対物レンズ側から見てみると鏡筒内に明るいリングが見えます。遮光環の縁が光って散光しています。接眼レンズ側から見ると雑散光は目立ち消光対策が不十分とわかります。参考までにミドルエンドのMONARCH HG 10×42の接眼レンズ側からの画像を添付しときます。射出瞳孔に近い明るい対策されていない光の反射は像のコントラストに必ず影響します。

kyoutounaibu2次に、小型のLEDライトの力をかりて、対物レンズ側から見た鏡筒内部を見てみよう。左のNP7の鏡筒内部だが、プリズム側に遮光環が数枚配置されているが手前の鏡筒内面は塗膜のみだ。右側のMONARCH HGの鏡筒には細かな遮光線加工が施されていることがわかる。このような目に見えにくい部分は真っ先にコストダウンの影響を受ける部分だ。逆光など条件の良く無い場合はフレアとなって観察に影響を与える。

今回はentry model/入門機を考えてみるってことだから、基本は視野中央部がしっかり解像されていることと、像の明るさの2点が最重要ポイントだ。防水も効いて基本性能のしっかりしてるNP7 8×30は購入しやすい価格帯の双眼鏡としては一押しとしておきましょう。

ダハ型ならこの辺の価格帯、ポロ機ならもう少し安い価格帯でもしっかり見える機種はあります。風景だけじゃなく野鳥の観察も~っていうなら、福沢先生お二人様は頑張ってみると楽しいと思います。

Nikon PROSTAFF 7S 8×30

Image13今日は梅雨も一休み・・・、朝から初夏の日の光が爽やかな一日だ。絶好の双眼鏡日和Wということで事務所にこもってチマチマやっているのもつまらないので、Nikon PROSTAFF 7Sを持ち出して、光学パフォーマンスというか見え方を検証してみよう。

Image11まあ、比較する相手が悪いです。「野鳥観察にむく双眼鏡・新旧エントリーモデル比べ・・・」ということで、比べる相手がNikon 8×30 EⅡ・・・現時点で最大級の広視野を誇るモデルだもんねえ。どちらも8倍だから、写真の赤灯台は同じ大きさなんだけど、見える範囲はかなり違います。EⅡが広すぎるんで、NP7の方はこのクラスに普通の標準視界としておきます。実際のぞいてみても、閉塞感を感じるというほどのこととはありません。

この価格帯の双眼鏡としては、P7Sはとても明るい視野ですね。EⅡと比べると僅かにおよびませんが、これは特筆すべきだと思います。そうだなあEⅡを9点として、8点+としておきます。手前の堤防や芦原の描写を見ていただくと明らかなのだが、そう、僅かにコントラストがぬるい。写真にしてみてより明らかなのだが白っぽく見えます。鏡筒内部の迷光処理とか、低コスト化の影響がこんなところに出ているのかもしれません。

Image1センターから周辺への像質の崩れ方を見ようと思っていたら、ちょうど色収差の見本がw歩いてきので一緒に撮影しました。良像範囲は40%位ですが、その後良く頑張って70%手前までは像の崩れ方は緩やか・・・。周辺像質は崩れますが、基本的な使い方なら充分としておきます。中央の色収差も僅かです。

Image4さすがに50%をすぎたあたりから、白いサギが相手だと赤と緑の収差が出始めます。EDガラスとか使ってないし、コンパクトな筐体ならまあこんなもんかと・・・。色収差の出始めあたりから像質も緩み始めます。

Image5周辺画質の補正を欲張らず、接眼レンズもシンプルな構成なので、昔の双眼鏡みたいに50%あたりから内向きの糸巻き収差が出始めます。これは建物とかを見るとわかりますが、野鳥の観察という使い方ならほとんど気にならないでしょう。

 

NIKON PROSTAFF 7S 8×30  

外観を見てみよう②

p7s_2ピントリングには8×30 6.5°の表示が。接眼目当ては3段ステップで、ストロークは7mm程だ。短いようだが、アイレリーフが15.4mと欲張っていないというかW最小限レベルなんでギリOKだ。眼鏡をかけている方のためには、アイレリーフは16mm前後は必要だ・・・。眼鏡の設定は、レンズの内側が眼球から13mmというのを聞いたことがあります。

左右の視度調整リングは右側・・・。ストッパは付いていないが硬いので、使用中に動くことはないだろう。もっとも、一人だけで使う分にはよいが、複数人での使用だと面倒かも。古いダハ機では、この視度調整リングが故障して効かないのがままあるから、この部分は双眼鏡というデバイスの弱点のひとつだとmedaichiは思っている。

それから、極めて控えめなW場所にmade in Chinaの文字が・・・。Nikonを含めて多くのメーカが、普及機の生産拠点を海外に移している。Nikonの場合は現地法人だったと思うが、OEMだったりとか形態は様々だ。当初、あまり感心しないなぁ・・・というような部分もあったが、ここ数年、現地の生産・組立が改善されているので、品質管理や検品の部分で信頼できるメーカの機種を選べば、「おっ!!  これ意外と良いねぇ~」という機種もけっこうあります。

p7s_3筐体にはポテっと厚めのラバーが・・・。保持した感触も良い。このあたり、ヘビーユーザだと長く使っているうちに硬化したり、外装が浮いてブカブカしてきたりとトラブルもあるだろうけど、現時点では評価できません。

対物レンズ、接眼レンズ、プリズムに一般的な緑系の増透コーティングが施されている。発売当初の機種には紫系の反射もあったように思うが、変更されたのだろう。もう少し価格帯の上の機種でもよく似たレベルのコーティングだから、補正を欲張らずレンズの枚数を減らした設計なら、双眼鏡自体の透過感は向上すると思われます。

ここまでのところ、P7S君、基本的なところはentry modelとして、しっかり押さえているとおもいます。